「人権から考える平和」

Inquirer Opinion/columns  by kristian Herbolzheimer 11/17/2008

the author is a research fellow at the initiatives for International Dialogue.

  

「人権から考える平和」

ミ ンダナオでは依然として停戦や和平交渉の途にあり、多くの人々が内戦に苦しんでいる。この数週間で約50万人の人々が緊急避難をしている。それなのに世論 も政治家もこの問題についてあまり関心がない。ミンダナオでの暴力は日常的なこと、仕方がないことと考えられているが、その考えを改めなければならない。

 

政府はモロイスラム解放戦線(MILF)の司令官カト(Kato)とブラブォ(Bravo)を人権侵害の罪で逮捕しようとしているが、その政府軍が市民たちの日常生活を脅かし苦しめているのだ。皮肉なことに、人権を擁護するための活動が、人権侵害を引き起こしているる。

 

しかし、政府もMILFも暴力をストップし、信頼関係を築き、市民に対する凶悪な行為をなくすために、国連の世界人権宣言や国際人権法などの国際的な人権基準での解決を計ることに解決の糸口がある、と私は考える。

 

MILFは武力闘争が経済的ダメージをもたらし、人々の命を奪うばかりか、長年培った市民との信頼関係も損ねることは承知している。

に もかかわらず、なぜ停戦が実現しないのだろうか?政府は中立的な調査団を結成し、真相と実態の究明をおこなえないのだろうか?紛争から和平への過渡期にお いては、司法の手続きよりも正義の問題が重要になる。人権侵害の究明こそが、対話や信頼関係再構築、交渉において重要な切り札となるはずだ。

 

ただし、ここで問題となるのは、誰が調査して、政府やMILFに人権侵害の罪を認めさせることができるのか、という点である。たとえば、マレーシアを団長として、ブルネイ、リビヤや日本などをメンバーとする国際的な調査団を結成したらどうだろうか?

 

ここ数週間、市民団体は停戦を求めているが、実現していない。もう少し大規模で本格的なキャンペーンを実施する必要があるだろう。Bantay Ceasefire(注) やアムネスティなどは独自に調査団を派遣している。

 

ま た、ASEANや国連にも和平を仲介してもらうことも視野に入れたらどうだろうか。国連はフィリピンの国家人権委員会などを高く評価している。ASEAN の加盟国からなる国際調査団を結成し、政府とMILFの仲介役になってもらう、国連に介入してもらう、国連人権委員会を招くとか、紛争解決の手段はいくつ かあるはずだ。

 

フィリピン政府はこうした和平のプロセスを国際化することに躊躇 いがあるだろうが、フィリピンは和平や人権の分野において先進的な役割を果たそうともしている。たとえば、暴力を減らし、人間の安全保障を発展させるよう 宣言した「武装暴力と開発についてのジェノバ宣言」の主旨をフィリピン政府は受け入れようとし ている。また、政府は新しい暴力を防ぐために、国連の「保護する責任」という主義にのっとって隣国にも協力を仰いでいる。

 

ミンダナオの人権侵害の問題は軍とMILFなどとの衝突の原因であり、結果でもある。

ミンダナオの紛争の解決は難しいけれども、この人権問題について国連や他の国もかかわることによって、その糸口が見出せるのではないだろうか。

 


(注)政府とMILFの休戦協定を監視している草の根NGO

恵泉女学園大学 堀芳枝